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zoom RSS 三島由紀夫の内的風景

<<   作成日時 : 2007/08/10 16:13   >>

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 2007年8月10日
 第8回

 「荒野」からの声  (その7)

 先述したもう一つの主要な言葉である「荒野」へ論点を移そう。言うまでもなく、本作品の中で「荒野」と孤独は深く濃い繋がりがある。作中に「私の心の都会を取り囲んでゐる広大な荒野」という表現があるが、三島は自分の心を、中央駅があり、商店街があり、住宅地域や劇場や郊外電車などのある都会と、それを取り囲む広大な地域である「荒野」とに二分して捉えている。
 作者が普段は閑却し、目を向けないようにして暮らしているものの、その所在を否定できず、心の一部である荒野。見渡す限り荒涼として、樹木も花もなく、露出した岩の上を風が吹きすぎる荒野。
 作中、三島は次のようにも書いている。
「私はその荒野の所在を知りながら、つひぞ足を向けずにゐるが、いつかそこを訪れたことがあり、又いつか再び、訪れなければならぬことを知ってゐる。明らかに、あいつはその荒野から来たのである。・・・」
 いつかそこを訪れたことがある「荒野」。例えば『仮面の告白』を書いていた頃の三島の心の中に広がっていたその「荒野」。あいつ(青年)はその「荒野」から来た男なのだ。その中では、「人間ならぬ何か奇妙に悲しい生物(いきもの)」としてしか生存できない「荒野」。同性愛者が生存しなければならないその「荒野」。あいつと私(三島)はまさしく同類なのだ。青年の方も三島の作品からそのことを感じ取り、三島から直(じか)に語ってもらおうとした。永久に叶わない形になったが。  

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