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zoom RSS 三島由紀夫の内的風景

<<   作成日時 : 2007/08/12 16:20   >>

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 2007年8月12日
 第9回  

 「荒野」からの声  (その8)

三島は『仮面の告白』を書いた後の生涯のある時期、彼なりの形であれ、「荒野」と決別する生を強固な意志と共に選んだと思う。仮にきっぱり決別するのが不可能なら、完璧に近いまでに封印する生を。作中の言葉を借りれば、「明るい、快活な、冗談をよく言ふ人々の間で暮らして」いこうと決意した。
 心の「都会」の中で生きようと決断し、結婚し、家庭を持ち、子供も持った。表向きの形の上では、望んだものを手中にした。そうした生活を送ることで、一人の市民としても作家としても、世間的な対面や社会的な地位や名声などを獲得した。
 しかし、同性愛という己の中の本源的な性的指向を抑圧し封鎖するという生き方が、身と心にどのような荒廃をもたらすかを、三島は、一日又一日、じわじわと感じていったと私は思う。それを素振りにも見せなかったかもしれないが。有るがままの自己を否定している分、かつて決別を選んだはずの「荒野」よりもっと心身を蝕む、冷え冷えとした別の荒野の中に踏み入った気がしたかもしれない。
 しかし、もはや現実の生活の中で、あの「荒野」に戻ることは不可能だし、それを望みもしなかっただろう。

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