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zoom RSS 藤田竜と内藤ルネの表紙絵について

<<   作成日時 : 2016/01/22 18:00   >>

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画像画像藤田竜(1938〜2011)と内藤ルネ(1932〜2007)はともに雑誌「薔薇族」(第二書房刊)の表紙を数多く描いた。
具体的には、藤田竜は創刊号(1971≪昭和46≫年7月)から25号(1975年2月)までと、30,37,42,48の各号で計29回。(ただし、25号は構成が藤田で、用いられている絵自体は、江田茂の作品だと思われる)
一方、内藤ルネは133号(1984年2月)から308号(1998年9月)まで、14年以上にも渡り、計176回。(今回、詳細には確認していないが、わずかな回にしろ、途中で他の作者に変わったということはなかったと思う)(内藤ルネの描いた号で、私(荻崎)が所蔵していない号は、その中の何点だったか、以前、国会図書館でコピーした記憶があるのだが、どこに仕舞ってしまったのか、残念ながら見当たらない。また、内藤ルネ展などで、表紙の原画を何点か見たこともある。それでも、私がまだ目にしていない表紙絵があるかもしれない)
画面上段左の画像は、藤田竜の描いた20号(1974年9月)で、右は、内藤ルネの描いた270号(1995年7月)だ。それぞれの描いた表紙絵の中で、私が最も気に入っている作品だ。
両者は、描かれた若者の顔形や体つきなど確かによく似ている。そうしたこともあって、藤田竜の作だと言われる表紙絵も、「ジュニアそれいゆ」や「なかよし」などの少女雑誌で活躍し画歴の豊富な内藤ルネが実際は描いたのではないかという声が、まれにだが私の耳に入ることがある。ただ、私はそれは誤解や誤認だと考える。
 「薔薇族」5号(1972年5月)に、「表紙について」と題した藤田竜の文章が載っている。彼が描いた1号から5号までの表紙に関し、その内情などを述べた文章だ。1号と2号の表紙は兵藤大輔作と書かれているが、これも藤田竜の別名で、藤田本人の作だと明かしている。限られた中での色の使い方、顔や体(どこまで裸を見せるかなども含め)の描き方、更に、編集長の伊藤文学(1932〜)とともに、同誌の編集に中心的に関わった立場からの売れ行きの心配など、苦心している様が伝わってくる。
 この文章を読めば、藤田竜作と記された表紙は藤田本人が描いていることは疑いようもない。ただ、これは後でも触れるが、藤田竜と内藤ルネは私生活の面でもパートナーで、住まいも同じにしていた。そうした面を考えると、藤田が自分の描いた、あるいは描いている表紙に関して、ルネの感想を聞いたり、意見を求めたりしたことはあってもごく自然だろう。そうした中で、ルネの考えが何らかの形で表紙に生かされたことはあったかもしれない。
画像画像
画面中段の画像の左は、藤田竜作の上記「薔薇族」5号(1972年5月)の表紙。右は内藤ルネが初めて描いた上記「薔薇族」133号(1984年2月)の表紙。上段の2点がよく似ているのと一転して、両作はかけ離れている。二人が描いた数多くの「薔薇族」の表紙絵の中で、この二作は最も異なるのではないかと私は思う。これらの作品の作者を逆に想定するのはまず考えられないだろう。
 内藤ルネにとって「薔薇族」表紙絵のデビュー作となった本作は、苦心作だっただろうが、前記の少女雑誌に描いた頃の作品にどこかしら共通する、少女的なものを私は感じ取る。私自身も惹(ひ)かれないが、おそらく多くの読者にとっても同じだったのではないか。次の号からは、一転して我々の目に馴染(なじ)んだルネ風な若者に変わった。編集者としての藤田竜からも辛口の評があったとしても不思議ではない。
(内藤ルネは、表紙を描く以前から、すでに佐原サムの名で「薔薇族」に、多くの彼の表紙絵に通じるルネ風な少年や若者の挿絵を描いていた)

「薔薇族」386号(2005年9月)(メディアソフト刊)に、「「薔薇族」の黄金時代を築いた内藤ルネの表紙絵」と題する伊藤文学の文章が載っている。この中で、「一緒にルネさんと仕事をしていた藤田竜さんが、ルネさんの描いた絵のバックのコラージュを考えたり、色彩を目立つようにしてくれていたのです。二人の合作といっていいのではないでしょうか」と伊藤氏は述べている。
 内情を知る伊藤氏の言だが、通常使われると思う、二人がほぼ同じ度合いで作品に関わったという意味での合作あるいは共作とは捉えられないだろうが、広い意味での合作という言葉は間違いとは言えないだろうと私も思う。
 こうした事柄も含めた上で、ことに上記の藤田竜作品に対する誤解や誤認の件も合わせ、それぞれの作と表記された表紙絵は基本的にはそれぞれの描いた作品だと捉えるのが自然で妥当だろう私は考える。

画像画像画面下段の左の画像は、「薔薇族」138号(1984年7月)に載る、「'84ホモビーチ情報 六尺危うし!」という藤田竜の書いた文章に添えられた、同じく藤田竜の挿絵。右の画像は、前々回の本ブログでも取り上げた、「薔薇族」87号(1980年4月)に載る、「昭和初年は春の暮れ」と題された内藤ルネ作の挿絵の、私が所蔵する原画。
ふたりとも好みの男という時(その1)参照
「表紙絵」という本タイトルとはそれるが、両者の「薔薇族」の挿絵のすべての中で、私が最も惹かれるそれぞれの作品だ。取り分け、「昭和初年は春の暮れ」の帽子をかぶった後ろの男には、藤田、内藤両者の表紙絵と挿絵すべての中で、私は最も惹きつけられる。見れば見るほど、この男の放つ底知れない色っぽさに吸い寄せられる。
(彼の顔が少しでも良く見えるように、上、中段の画像より大きめにしました)(笑)

 藤田竜の作品の中の、うっすら素朴な土くささを残した可愛げのある男たち。
 内藤ルネの作品の中の、清新で伸びやかな品を放ちつつも、底の底に一抹哀しみを秘めている感のある男たち。
藤田竜の描く、あくまでこの現実の世の男たちに対し、この現実の世とはそれた、どこか別の世にもほんの少しだけ身をさらしている感のする男たちを描いた内藤ルネ。
どちらの男たちも、その多くが私にはいとおしい。

私が6年以上前に書いた当ブログ、「アートに欲情しよう! (その10) 内藤ルネの巻」も参照してください。
また、今回のブログを書くに当たって、本文で記した以外に、「股旅堂古書目録 Vol.14(2015年12月)」、「薔薇族」387号(2005年10月)、388号(2005年11月)(ともにメディアソフト刊)、395号(2008年 冬)(第二書房刊)を参照しました。

(2016.1.22)




 
 

 





















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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは
私が今でも一番好きな表紙は、第2号です。
清潔感と爽やかさがあります。
ほかの号の表紙も、皆好きです。
また、木村べんさんの表紙も好きです。
G7
2016/04/11 19:03
G7様
うっかり間違えてコメント停止をクリックしてしまいました。
2号の表紙は、きりりとした男っぽさを私は感じます。
荻崎正広
2016/04/13 02:40
G7様
コメント復活することができました。
お騒がせしました。
荻崎正広
2016/04/13 12:32

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