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zoom RSS (中編小説) 陶酔する水流の歳月

<<   作成日時 : 2017/08/03 17:08   >>

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(第16回)
 牧島は新たな流れの前に立つ。「会えるかと思って、いつもより早く来た」と牧島が言う。「一度出したから・・・。朝から来ていた。もう帰る」と男は言う。さっき、「久し振りですね」と言って、立って軀を拭いていた男の尻に手を置いた。一ヵ月振りに来たが、この男の軀に有り付くのはまたしても先送りだ。一度だけまずまず味わってからもうだいぶ経つ。拒むのと受け入れるのが混ざり合っているものの、今のところ拒むほうが優勢だ。
 他(ほか)の日他の所で、もう少し遅い時間に一度交わったことのある小柄で締まった高齢の男が、ロッカーの前で早くも帰り支度を始めようとしていた。やや小振りながら尻がかちっと固めに盛り上がっている。三十分早く来ていたらと思ったものの、この日はこれでも今までより相当早めに来たからには、やはり仕方がなかった。こういう日もあるさ。次までお預けだ。牧島を覚えていたと思うが、周りに何人もいたために、声は掛けなかった。この日この男を越える尻はやはり見つからなかった。
 一回ごとにやや誇大に言えば零から始まる。行き着く先も見えない。だから八十歳になっても九十、百になっても毎回真新しい場を前にする。「じじい、失せろ。九十、百の老いぼれが来る所か」と眼でののしられるごとに、ほんの少し艶が加わり、わずかずつ若やぐ。百十歳でも筋肉の量を増やすことができるか・・・。本気めかして思いを巡らす。

 雨の日は大きな池のほとりにある映画館にはいかない。男たちがひしめく中、バッグを手にし傘を持ちながら男を漁(あさ)り手を出すのは難しい。雨が降らない日も、このところ足が遠のいた。先のことは分からない。

(2017.8.3)

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