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zoom RSS  (短編小説) 果肉の中の波の声

<<   作成日時 : 2007/11/11 16:16   >>

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第39回 (その23) (最終回)
 沢崎が焦がれているあの男と二人だけで飲食のできる、連れの男に対する妬(ねた)ましさに飲まれそうになったものの、今更そんなことで俺は苦境に陥りはしないさ、と自身を茶化した。

 茶化しきれず、何で俺ではなくてあいつなんだ、というしぶとい声が噴き上がるのを、埒(らち)もない、と強引に封じ込めることはしなかった。もっと追い討ちをかけようとしたのかどうか、二人が真裸でひしひしと絡み、睦み合う映像が沢崎の眼前に浮かび、大きくうごめき、直ぐには消えなかった。
 降参するよ、二人で大いに楽しんでくれ。だけど、いつか俺も呼んでくれたらうれしいな、はした役でいいから・・・。沢崎は頭を振り、又また自分の裡で苦笑いした。
 もう時間だった。沢崎は改札に向かった。電車に乗って、あの男から遠ざかる程、こっそり彼の軀に近づこうとばかりする自分がはっきり見えて、沢崎は今更のように呆(あき)れた。と同時に、彼の軀とそっくりに刳(く)り抜かれた空洞を抜け、更に先へ歩いていく自分の姿が、いつになくくきやかに映った。 (了)

 「果肉の中の波の声」はこれで終了です。お読みいただいた方に感謝します。感想などお伝えいただければうれしく思います。
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