(短編小説) 記憶を彫る肌身

(その17)(最終回)
 高桐は立ち上がり、ここ何年間、特別な事情がない限り土曜日にはまず欠かさず通っている、歩いて10分程のNサウナに向かった。
 道々、あの少年ぽい清涼感のある男も含め、以前からひたすら欲しいと思う数人の男たちの映像が浮かんだ。今日こそ、少なくとも彼らのうちの一人と出会い、しかも高桐が手を出せば、渋々とであれ相手も受け入れてくれるのではと、まず叶ったことのない思惑が続いた。
 それとは又別に、まるきり初めて見る諸(もろ)に好みの男が待っていて、誘えば案外すんなり肌身を合わせてくれるのではという、毎回決まって湧き起こる期待と欲念が、高桐の頭と体の芯を一箇所ずつほんの僅か蕩かしながら茫々と広がった。  (了)

 「記憶を彫る肌身」はこれで終了です。お読みいただいた方、どうもありがとうございました。
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(第58回)

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