アートに欲情しよう!

(その3) 神宮寺 拳(じんぐうじ・けん)の巻
 神宮寺 拳というイラストレーターについて知っている方は、今となってはそう多くはないかもしれない。私の捉えている範囲では、雑誌「薔薇族」(本号と増刊号)、「青年画報」(ともに第二書房刊)に、合わせて7回作品が掲載されている。1979(昭和54)年から1983(昭和58)年にかけてだから、もう25年近く過去のことになる。
 彼の作品で、私が最初に最も強く惹きつけられた記憶として残っているのは、上記「薔薇族」の1980(昭和55)年10月号に載った、「男色絵巻 大江戸輪舞」と題された6点の作品だった。ゲイ雑誌に限らず、すべての雑誌や書物を含め、何点かまとめて載った形のイラストの中で、惹かれた度合いの強さと深さから言うと、もしかすると私の生涯でこれが筆頭かもしれない。それくらい私の好みの顔と体が、びっしり詰まっていた。画像
右手上段の作品は、その中の、「殿様と若侍」と題された一点だ。殿様の渋く締まった壮年の顔と体。若侍の胸部の、張りのある厚い筋肉とそれに掛けられた三筋の縄。
 縄で縛られ、腕の動きを拘束されることで、若侍は殿様用の快楽の具としての自らの体を、より強く意識し、それにも興奮し、一段と陶酔する。快楽の具として、相手の一部に成り切ることで、束の間であれ、自己という縛(いまし)めから解放されることを若侍の体は知っている。
 一方、殿様は若侍の心身を丸ごと所有することで、思うがままに自己の快楽のうねりに身をまかすことができる。二人の男が望む欲情の方向がぴたり一致し、繋(つな)がった二人は、あたかも一艘の舟のように、快楽の海を渡っていく…。
画像 右手中段の作品は、同じ6点の中の、「侍と坊主」と題されたもの。侍は今度は両の手首を縛られている。
 この作品で私がまず吸い寄せられたのは、何といっても侍の尻の形だ。うかつに触ったら弾き返されかねないほど、両の尻たぶがぐりっと盛り上がっている。掘っても、割って内側を舐めまわしても、ともに極上の旨さだろう。
 誌上に掲載するためだろう、坊主の陰部がぼかされているのが残念だ。存分に掘りまくっているだろう坊主の男根は、侍の尻の中で、なおさら荒々しく反り返り、尻のひだというひだは、それを競ってむしゃぶっているに違いない。
 上段の二人と同様、むしろそれ以上に、互いに相手のエロスの様相を知り尽くしている彼らは、侍の両腕を拘束することで、ぴたり歩調を合わせ、快楽の頂(いたたき)の、更にその先の頂へと上り詰めていく…。
 画像
 右手下段の作品は、「薔薇族増刊号 夏」1982(昭和57)年8月刊に載っている、短歌とのコラボレーションの形をとる三点の中の一つだ。
やや年上の男が若い男の右足を抱え上げている。年上の男のきりりと男くさい顔と、若い男のみずみずしく張りのある骨太の四肢。ともに遜色(そんしょく)のない似合いの男たちだ。こんな二人を前にしたら、見るだけでは到底おさまらず、加わって3Pに持ち込みたいと願うのはごく自然な欲求だろう(笑)。多分、彼らは端(はな)から相手にしそうにないが・・・。
 上段、中段の作品と異なり、二人とも身体の一部を拘束されてはいない。拘束するという何らかの付加物を、少しも必要としないほど、互いに相手のあるがままの自由な生身に満ち足りているのかもしれない。
 軽く拘束するにしろ、しないにしろ、神宮寺氏には、男たちが連れ立って快楽の少しでも極みへと行こうとする時の光景が、よく見えているのだろう。
 神宮寺氏の描く男たちのすべてに惹かれるという訳ではないが、独りよがりな推測と想像ながら、求める快楽の光景という点で、私は彼との間に共通するものが多いのを感じる。
 上掲の三点もそうだが、例えば足や指の描き方など、技術的には未完な面を指摘できるだろう。1983(昭和58)年2月刊の「薔薇族増刊号 冬」を最後に、私は神宮寺氏の作品を見ていない。その時点で筆を断ったのだろうか、それとも私の知らない所で作品を描き続けたのだろうか。もし描き続けたのなら、より成熟した作風も含め、ぜひとも見たい思いは強い。
 私のサイトでも、以前から、彼に関する情報があったら知らせてほしい旨記しているが、残念ながら一件も届いていない。改めてお願いしたい。
 果して生存されているのかどうか、生存されているとしても、相当な高齢かもしれない。
 「荻崎正広コレクション ゲイ・アートの家」では、残念なことに、現時点では、神宮寺 拳の原画は一点も所蔵していない。

(追記)
 2010年の5月上旬、神宮寺拳氏本人が「荻崎正広コレクション ゲイ・アートの家」を訪れてくれた。
そのしばらく前、当ブログを始めて見た神宮寺氏がメールを寄せてくれたのがきっかけだった。仕事の関連で時間に余裕ができたので、検索してみたとのこと。
 また、当時、仕事が忙しくなり、イラストを描くことから離れたという。上記の「生存されているとしても、相当な高齢かもしれない」をあっさりくつがえし、私の勝手な推測よりずっと若かった。ただ、残念ながら、「薔薇族」(本誌、増刊号など)に載せた原画はまったく所持していないとのことだ。
 神宮寺氏から始めてメールをもらった少し後、「薔薇族」の編集に関わっていた藤田竜氏に、主に円谷順一(大阪のおっちゃん)について電話で話を聞く機会があっが、藤田氏も神宮寺氏の原画は保管していないとのことだった。
 また、編集長の伊藤文学氏には以前から何度か聞いたことがあるが、やはり原画のことは分からないとのことだった。
 当館を訪れた日、神宮寺氏は自身の作品の資料がきれいに整理されたポートフォリオ(作品帳)を持参してくれた。その中に、雑誌などに未発表の原画が幾点かあった。台紙にぴたりと貼られていて、その中の何点かを入手することは不可能だったが(笑)。
 「荻崎正広コレクション ゲイ・アートの家」のサイトにその中の6点を掲載したので、ご覧ください。
 神宮寺氏によると、「薔薇族」(本誌、増刊号など)に載せた原画は、始めから局所は描かなかったが(描くと載せられないことが分かっていたため)、この未発表の作品には隆々とした大振りな男根が、がっちりと盛り上がった尻や分厚い総身の筋肉ともども描かれていて、すこぶる見応えがあった(笑)。
新作を描いてもらうことをお願いしたので、出来上がるのが楽しみだ。
(2010.5.14)

(更なる追記)
私のHPにも記しましたが、2011年の12月に、神宮寺氏の原画2点入手しました。2点とも「薔薇族増刊号 夏」1982(昭和57)年8月刊に掲載されています。中の1点は、本ブログの上から三番目に載せた画像の元の作品です。
(2012.1.8)


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