アートに欲情しよう!

(その9) KATSUOの巻
 KATSUOというイラストレーターの名前を知っている方はどのくらいいるだろうか。実は、私自身、彼の名と作品を知ったのは、昨年(2008年)の11月下旬、国立国会図書館で、雑誌「薔薇族」(第二書房刊)のバックナンバーを見ていた時だった。
 内藤ルネ(1932~2007)が描いた「薔薇族」の表紙で、私が所蔵していない号をコピーしようと行った国会図書館で、私の知らない、これほど惹きつけられるイラストレーターがいたのだ、という驚きとともに、誌面に載る彼の作品に見入った。
 その日は、合わせて四号に彼の作品が掲載されているのが分かったが、時間の関係もあり、その中で一番惹かれた1998(平成10)年5月号に載る「祭衆」(作品8点が載る)だけをコピーした。因(ちな)みに、内藤ルネの描く表紙は、当初、所蔵していない号はすべてコピーするつもりだったが、カラーコピー代が高いこともあって(笑)、気に入った号だけに止(とど)めた。
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昨年末、再び国会図書館に行き、前回はできなかったが、「薔薇族」の内藤ルネが表紙を描いた号以外の号にも、KATSUO氏の作品が載っていないかまず調べた。かなりの数のバックナンバーに当たったが、彼のイラストは見当たらなかった。その日、前回分かった四号のうちの、残りの三号をコピーした。
 断言はできないが、これら四号以外には、「薔薇族」だけでなく他のゲイ雑誌も含め、彼の作品は掲載されていないのではと私は思う。もしも他にも載っていることが判明すればうれしいのだが。
 上記以外の三号は、タイトルも含め次のとおりだ。
「穴疼きレスリング野郎」(体育会スケベ物語)(作品5点) 1996(平成8)年1月号。
「空手部男肉祭」(作品9点) 1997(平成9)年3月号
「ボクサーの熱い密室」(作品10点) 1997(同)年7月号

 こうしてみると、彼の作品は1996年から1998年にかけて、わずか三年間に集中していることになる。この頃は、私個人は後続の「バディ」や「ジーメン」誌などに目移りしていたこともあって(笑)、ひょっとしてゲイショップの店頭などでこれらの作品を目に入れたことがあったとしても、購入までは考えず、そのうちに作者名も含め忘れてしまったということもあったかもしれない。もっとも、上記「祭衆」を目にしていれば、まず間違いなく購入していたと思うから、少なくともこれはこれまで一度も見なかったのだろう。
 画面右手上段の作品は、上記「祭衆」の中の一点だ。褌をしめ、鉢巻をした若者の、締まって厚めの筋肉の行き渡った伸びやかな裸身が描かれている。画面ではもう一つわかりにくいかもしれないが、顔もきりりと男っぽく若々しい。
顔と体は薄茶あるいは肌色で彩色されている。
 仰向けで上体を起こし、みずみずしく厖大(ぼうだい)な量の官能を湛(たた)えた肌身が、見る者を、到底抵抗し難い力で誘っている。万が一、この若者が応じてくれるなら―少なくとも君にはそれはあり得ないという冷めた声は無視し(笑)―私は果ても切りもなく、この一躯(いっく)の中に溺れ、沈み切りたい。
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 右手中段の作品は、上段と同じ「祭衆」の中の一点。同じ薄茶あるいは肌色で体は彩色されている。足を大きく上げ、股(また)を開いた上の男の男根や尻の芯を、下の男がたっぷり味わっている図柄だ。構図がぴたり決まり、作者の描写力の確かさがよく現われている。
 若い二人の男の、張りと力の漲(みなぎ)った、底なしとも言えそうな量の欲情が、ちょうど同じ度合いで均衡し溶け合いながら、少しずつ上り詰めていく・・・。欲情や快感の形や輪郭が、二人の裸身のそれらと少しのずれもなく重なり合っている。この作品からはそんな印象を私は受ける。
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 画面右手下段の作品は、上記「空手部男肉祭」の中の一点。元の誌面でも同じモノクロだ。
 ずばり、尻を力強く存分に掘っている図。上下の二人の男の尻の形がくっきりとよく分かる図柄だ。上にも横にもぐいと張り盛り上がり、全体的に四角ぽく見える最上等の二個の尻。これほどの尻の持ち主同士なら尚のこと、体の芯から蕩(とろ)け合いながら、快感の目の眩みそうなほど高い頂に、二人同時に上り詰めるだろう。
 彼の作品には、尻がよく描かれていて、しかもほぼ同じ部類の尻だ。尻に対する強い欲望と、描かれた尻の形から、KASTUO氏と私自身の欲望の有り様(よう)は相当似ているに違いないと、勝手ながら私は推測する。同時に男根にも私は強く惹かれるが(笑)。

 上記四号の彼の作品全体を通し、年代的には最後になる「祭衆」が、さすがに技量も最も高いようだ。もともと相当高い技の持ち主だが、短期間のうちに、構図、形、雰囲気など、描き手としての力を一段と身につけたと私には見える。
 
 三年なり五年なり比較的短期間、恐らく「薔薇族」一誌にだけ作品を発表し姿を消してしまった点などで、KATSUO氏が、本シリーズの(その3)で取り上げた神宮寺拳(じんぐうじ・けん)と似通っているのを私は感じる。二人とも私が強く惹かれる絵柄の持ち主だという点も含め。
総体として、技量的にはKATSUO氏の方に軍配が上がりそうだが、絵肌としては神宮寺氏の幾つかの作品の方に、私はより強い官能性を覚えると付け加えておこう。

 「祭衆」などの編集に関わった三上風太氏(本シリーズの(その2)で取り上げたが)と、「薔薇族」編集長の伊藤文学氏に問い合わせたが、KATSUO氏の原画の所在については、お二人とも分からないとのことだった。

 KATSUO氏ご本人、あるいは彼について何かご存知の方、連絡いただけたら大変うれしく思います。メール、電話番号などは、「荻崎正広コレクション ゲイ・アートの家」のサイトに載っています。

(追記)
最近手に入れたばかりの、「薔薇族」1996(平成8)年11月号に、「狩られたライダー」と題し、KATSUO氏のモノクロの作品が5点載っていた。昨年、国会図書館でバックナンバーを調べた際には、見落としてしまったようだ。時期的には上記の「穴疼きレスリング野郎」と「空手部男肉祭」の間に入る。絵柄としてもその位置がふさわしい。
ひょっとすると、他の号でも、いつか彼の作品が見つかるかもしれない。
(2009.3.13)

 
 
 
 

 


 

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