テーマ:三島由紀夫の内的風景

三島由紀夫の内的風景

 2007年8月26日  第15回  「荒野」からの声  (その14)(最終回)   最後にもう一つ付記したい。かつて雑誌「薔薇族」(1973、昭和48年5月号)で読んだことのある、短編小説『愛の処刑』(直接確かめることができた訳ではないが、最初に掲載されたのは会員誌「APOLLO」で、1960、昭和35年のことのようだ)…
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 2007年8月24日  第14回  「荒野」からの声  (その13)  2006年1月初旬、以前から一度眼にしたいと考えていた、南馬込にある三島邸を私は見に行った。何人にも道を聞き、やっと探し当てた。青銅製だろうか、かなり黒ずみ分かりにくかったが、「三島由紀夫」という表札が掛かっていた。高い塀と木立の向こうに、アポロ像だ…
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三島由紀夫の内的風景

 2007年8月20日  第13回  「荒野」からの声  (その12) 付記すれば、三島にはこの青年は、明らかに性的欲望の対象になる型(タイプ)の男ではなかった、と私には思われる。もしも好みの型に属する男だったとしたら、青年に対してこれほど一貫して冷徹な分析や表現にはならず、もっと微妙な陰影や、どこかしら和らいだ濁りの…
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 2007年8月19日  第12回  「荒野」からの声  (その11) 「荒野」であれ、「都会」であれ、究極まで突き詰めると、両者ともに幻影であり無であることが、動かしようのないこの世界の実相なら、最後は、自らの本源の姿をそのまま受け入れた(「又いつか再び、訪れなければならぬことを知ってゐる」)あの「荒野」に立ち返り、…
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 2007年8月17日  第11回    「荒野」からの声  (その10)  おおよそ四年後に迎え入れることになる現実の死そのままではないにしても、『荒野より』を書きつつ、三島は自身の死の形や有り様(よう)を見透かしていたのではないか、と私は思う。  三島はこの作品を書き上げた時点から死を迎えるまでのほぼ四年の間、何度と…
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 2007年8月13日  第10回  「荒野」からの声  (その9)  既に一度引用したが、あの「荒野」に「又いつか再び、訪れなければならぬことを知ってゐる」とは何を意味しているのだろう。私には、『荒野より』全体の中で、この箇所が最も謎めいて感じられる。見方を変えると、この箇所が、三島が一番「本当のこと」を記した部分かも知…
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 2007年8月12日  第9回    「荒野」からの声  (その8) 三島は『仮面の告白』を書いた後の生涯のある時期、彼なりの形であれ、「荒野」と決別する生を強固な意志と共に選んだと思う。仮にきっぱり決別するのが不可能なら、完璧に近いまでに封印する生を。作中の言葉を借りれば、「明るい、快活な、冗談をよく言ふ人々の間で…
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 2007年8月10日  第8回  「荒野」からの声  (その7)  先述したもう一つの主要な言葉である「荒野」へ論点を移そう。言うまでもなく、本作品の中で「荒野」と孤独は深く濃い繋がりがある。作中に「私の心の都会を取り囲んでゐる広大な荒野」という表現があるが、三島は自分の心を、中央駅があり、商店街があり、住宅地域や劇場や…
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 2007年8月9日  第7回   「荒野」からの声  (その6)  1949(昭和24)年、この青年と大体同じ年齢であろう24歳の時に刊行した『仮面の告白』の中で、三島は次のように書いた。 「お前は人間ではないのだ。お前は人交はりのならない身だ。お前は人間ならぬ何か奇妙に悲しい生物(いきもの)だ」  体の芯から吹き上…
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 2007年8月8日  第6回  「荒野」からの声  (その5)  不法に侵入したからとはいえ、三島も今までに見たことのない程「すさまじく蒼褪めた顔」をし、文中の言葉を借りれば「狂気」に至るまでの底知れない孤独に陥っていた青年。そして青年のその孤独を三島は一瞥で見て取っていた。しかも「私自身も、かつて、さういふ孤独を知らぬ…
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 2007年8月6日  第5回   「荒野」からの声  (その4)    付言すれば、三島自身一時(いっとき)錯覚したように、万一、青年と三島が二人だけで別室で話をするという展開になったとしても、(三人の警官が既にこの場に駆けつけている状況の中で、それは現実には有り得なかっただろうが)青年の問いに対し、三島が「本当のこと」を…
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 2007年8月5日  第4回  「荒野」からの声  (その3)  三島の自衛隊への体験入隊や、「楯の会」の発足などはこの事件より後のことになるが、青年の言う「本当のこと」が、例えば、写真集「薔薇刑」や小説「憂国」の映画化、或いはこの事件の前月に発表された小説「英霊の声」などに関わる政治的、思想的、更に社会的などの事柄であ…
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三島由紀夫の内的風景

  2007年8月3日   第3回   「荒野」からの声  (その2) それでは、青年が三島邸に法を犯し闖入(ちんにゅう)してまで、(彼はそれ以前から既に二、三度三島家を訪れ、作者に面会を求めたが、三島の両親よって追い払われていたことが、作品の中で触れられている)三島からじかに聞きたかった「本当のこと」とは何なのか。 …
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三島由紀夫の内的風景

 2007年8月2日  第2回      「荒野」からの声    (その1)  三島由紀夫(1925~1970)に『荒野より』という短編小説がある。1966(昭和41)年10月号の文芸雑誌「群像」に発表された。そのおおよそ四年後、1970(昭和45)年11月25日に、三島は割腹し自害する。  この作品に記述されている事件…
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