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zoom RSS 風土の中の男の裸

<<   作成日時 : 2012/02/05 17:27   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 28 / トラックバック 0 / コメント 12

画像海浜という風土や自然の中で働き生活する男たちの裸に強く惹かれることがある。多くは、彼らを撮った写真や、描いた絵画をとおしてだが・・・。
画面左上段の画像は、小関与四郎(こせき・よしろう)氏(1935《昭和10》年〜)(千葉県在住)の写真集『九十九里浜』(2004《平成16》年 春風社刊)の中で、私が一番惹き付けられる作品だ。同写真集では見開きのページになっているが、この画像はその右ページの一部。
 水平線とほぼ同じ高さに、影を濃くした人物が立ち並び、言わば、図形的な安定感と何かを待ち望むような漁師たちの思いが一点の中で溶け合っている・・・。
 私的には、右から三番目の横向きの全裸の男の顔と全身に、見るたびに目が吸い寄せられる。光の加減でもあろう、鮮明ではないが、推測も交えて、顔も体つきもともに私が飛び切り好ましく感じる男の一人だ。質朴そうでどこかしら愛嬌のある男っぽい顔立ち。短髪。中肉中背の締まった筋肉質の総身・・・。
 同書の巻末に付された、この作品についての作者自身の解説では、「堀川浜(野栄町) 早朝の出漁では、だれがだれだか顔の判別がつかない。1961年(昭和36)頃」と記されている。
 今から51年ほど前の写真ということになる。私の目で、この写真の中の彼が30代の半ばぐらいだとすると、現在では80代の半ばか。健在であってほしい。恐らくこの写真の中の面影をとどめ、顔にも体にも更に渋い味わいが加わっているのではと思う。
画像
 左下段の画像は、同じく小関与四郎氏の写真集『消えた砂浜 九十九里浜五十年の変遷』(2005《平成17》年 日経BP企画刊)の中の一点だ。上記『九十九里浜』がすべてモノクロ作品だったのに対し、本作はカラー作品が多い。
 この写真の下には「フナガタたちは一物の先をミゴワラで縛って作業をした。(1962年 野栄町堀川)」と書かれている。「フナガタ」は船方(ふなかた)(船乗り)のことで、九十九里地方ではそう呼ぶとのことだ。
 上段の写真とほぼ同じ頃の同じ場所だとわかる。漁のさなかの男たちの顔つきや体つきをそのまま伝えている。一番手前の男の顔も男臭くていいし、手前から二番目の男の無駄な肉が少しもない締まった総身も見応えがある。
 私(荻崎)には、以前から、労働(ことに漁業や農業など一次産業)のさなかの男たちの体を、舌と手で直(じか)に味わいたいという願望(妄想か)があって、なかなか捨て切れない(笑)。(スポーツの場合も含め)。あくまで好みの男の場合に限ってだが・・・。
 この画像の中の、手前の二人の張り詰めた体は、まさに今、どこを取っても応えられない旨(うま)さだろう。ことに尻の肉は極上だろう。
 予め互いに了解した上なら、そういう願望も叶うだろうかなどと、私の妄念は幾つになっても消えない。
 
画像
 画面右手の画像は、新田 好氏(1922《大正11》年〜)(愛媛県在住)の写真集『海と太陽の間 佐田岬半島の人々・風土』 (1980《昭和55》年 日本カメラ社刊)の中で、私が抜きん出て強く惹かれる一点だ。
 浜の地平の線と平行に近い綱の線、それら二つの線を区切るやや斜めになった人物の肢体。力動感と揺るぎなさがすっきり際やかに収まっている。時の流れを越えたどことも知れない空間が現出している・・・そんな感を私は覚える。
 もう何年か以前、写真家の東風(こち)氏に初めてこの写真集を見せてもらった時から、この作品はずっと私の頭に残っていた。本写真集を入手できるかと、インターネットなどでも何度か検索したが、掲載されていなかった。諦めていたが、しばらく前、改めて検索したところ、好運にも古書店のサイトに載っていて、手に入れることができた。
 佐田岬半島(愛媛県)は、私は一度も訪れたことはないが、九州大分県の方へ細長く突き出た形の半島だ。巻末の新田氏の解説を読むと、平地がほとんどなく、山々は急斜面で海に迫り、山頂まで余さず耕されているという。
 当作品の下には「瀬戸町川之浜・1949年」と書かれている。もう一点同年の作品があるが、本写真集の中では最も古い写真だ。本写真集の中に、この作品と似た光景を撮ったものが他にはないところからも、こうした光景自体、この地方でも程なく消えていったのかもしれない。
 私が惹きつけられるのは、なんといっても右から二番目の男だ。網を引いているのだろうか、それとも船か、両手を綱に置く男の、締まりに締まり張り詰めた総身から、漲(みなぎ)った精気がもろに伝わってくる。褌の白さがいやがうえにも目映い。この場のこの男の尻と陰部を包めたら褌冥利だろう。正直、この褌が妬ましい(笑)。
 彼は30歳前後か。健在だとしても、今、90歳を越えていることになる。私には、左上段の画像の中の彼とどこかしら似通っているとも見える。二人ともそれぞれの郷里で暮らし続けたのだろうか。

 写真家の小関氏も新田氏も、上記のような視点から自身の写真集が見られるということ自体に驚かれるかもしれない。ただ、一点の写真(取り分け公刊された)を見る目は当然ながら種々様々で、こうした目で自身の作品を見る者もいて、しかもその本人はその作品に心底惹きつけられ、更にそのことがその本人の生きていく力の一部にもなることを知れば、こうした視点も恐らく広い心で受け入れてくれるだろうと私は思う。
 例えば、上記『九十九里浜』には「刊行に寄せて」という冊子が付されていて、作家、学者などから数多くの感想や見方が寄せられいる。多くはこの浜の自然とここで漁を主に暮らしを営む男たち女たちの強さに対する共感や畏敬の念をつづっている。それらに対し、私にも特に異論はない上に、取り立てて付け加えることもない。ただ、当たり前だろうが上記のような私と共通する視点をまったくない。

 私はこうした写真集を見ている時、被写体になっている男たちの中に、或いは写ってはいないが同じ地に住む男たちの中に、ゲイという性的指向をかかえながら、誰にも告げることができないままにつらい思いで暮らしている者がいるかもしれないとつい考えてしまう。 
 たまに似た海浜の地を実際に訪れた時もそうだが。
 それはどこでも同じではないかと言われそうだが、人々とその地の風土や生活との結び付きが取り分け濃く感じられるからという点もあるのかもしれない。
 そうした男たちは、やがてどうにもいたたまれなくなって、郷里の地を離れ、大都会の中に身を紛らす生き方を選ぶことになるのだろうか。様々に屈折した思いを郷里に寄せながら、懐(なつ)かしさに時折帰郷するだろうか・・・。
 こうした思いも交えながら写真集を見ると、一点一点が陰影を増し、取り分け、惹かれる被写体へのいとおしさがより濃くなるのを私は覚える。

(2012.2.5)
 
 

 

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
お元気でしょうか。
引き続き宜しくお願いします。
楽しみにしております。
ファンです。
2012/05/28 19:04
コメントありがとうございます。
のんびりしていないで、そろそろ更新しないと、忘れられてしまいますね(笑)。
荻崎正広
2012/05/29 00:24
昭和36年は私が中学に入学した年です。この頃九十九里浜では男達が全裸で仕事をしていたなんて知りませんでした。これは日本の文化です。男の裸の文化がすたれてしまいとても残念です。
男体すきお
2013/02/15 16:55
うーん、深い。女子だって惚れ惚れする、男子の海を相手に働く裸姿 ー 。仕事仲間でそういう気分になったとしても、おかしくない。そんなこと考えも及ばなかった。…、きっとオチンチンをミゴワラで縛るのは、そういう、哀しいんだか嬉しいんだか…、やはり、おまじない、なんじゃないかな、…
焼きボタモチ
2014/05/21 00:31
何か送信、手が震えちゃって、まだ終わってなかったの。それでね、そのミゴワラは冷え防止と虫よけとか、おまじないなんですって。ご存知でした? あ、そう、失礼しました。
焼きボタモチ
2014/05/21 00:39
だから、P.S.です。ミゴワラは、冷え防止、虫よけ、おまじないだそうです。え? 蛇足でしたね。
焼きボタモチ
2014/05/21 00:44
だから、P.S.です。ミゴワラは、冷え防止、虫よけ、おまじないだそうです。え? 蛇足でしたね。
焼きボタモチ
2014/05/21 00:45
だから、P.S.です。ミゴワラは、冷え防止、虫よけ、おまじないだそうです。え? 蛇足でしたね。
焼きボタモチ
2014/05/21 00:47
だから、P.S.です。ミゴワラは、冷え防止、虫よけ、おまじないだそうです。え? 蛇足でしたね
焼きボタモチ
2014/05/21 00:48
だから、P.S.です。ミゴワラは、冷え防止、虫よけ、おまじないだそうです。え? 蛇足でしたね
焼きボタモチ
2014/05/21 00:48
ごめんなさい、送信の仕方わからないというか、送信出来てないと思って何度もやってしまいました。不慣れなんです。消してください。決してふざけてなどいません。
焼きボタモチ
2014/05/21 00:57
コメントありがとうございます。
確かにおまじない他の面もあったでしょうね。その地に住む人々の、積み重なった様々な思いが形として結実するのではと思います。
荻崎正広
2014/05/22 16:00

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