日本の男たちの尻をさかのぼるーその蕩(とろ)けと安らぎ

画像(その2) 江戸時代の絵画の中の、吸い寄せられる尻
(前半) 広重作品の中の尻
歌川広重(うたがわ・ひろしげ)(1797《寛政9》~1858《安政5》)の作品には、褌(ふんどし)姿の男たちが数多く描かれている。駕籠舁(かごかき)や川渡しの人足(にんそく)や船頭(せんどう)などの男たちだ。東海道や木曽街道の宿駅なとで、そうした男たちの姿がよく目に入り、宿駅を印象づける一枚の絵にしやすいという面もあっただろうが、自身の体一つで力仕事をする男たちへの共感もあったのだろうと私(荻崎)は思う。
(ちなみに、広重は、本姓で安藤広重と呼ばれることもあるが、彼が属した歌川派を用いて歌川広重と記されることが近年は多いようだ)
左上段の作品は、「東海道五十三次」(保永堂(ほうえいどう)版(1833《天保4年》)の中の「庄野 白雨」(しょうの はくう)。よく知られた作品だが、私(荻崎)はこれまでに目にしたことのある広重の全作品の中で、以前から、この作品に最も強く惹(ひ)かれる。(庄野は、現在は三重県鈴鹿市。白雨は、夕立、にわか雨)
(ただ、当画像は、今号に載せたほかの画像も含め、元の作品の全体ではなく、私が取り分け惹かれる部分を主にしています)
中でも、後ろで駕籠を担(かつ)ぐ、どこかしら伸びやかさのある体形の男の、紺の衣類を尻端折り(しりはしょり)して剝(む)き出しになった、両の尻たぶにそそられる。もう一回りがっちりしていれば更に引き込まれるが・・・。
白雨のさなか、笠をかぶっているために、顔や頭の形はわからないが、まずまず好みの顔立ちだったら(!)、彼が一仕事終え、ほっと一人で休んでいる最中、濡(ぬ)れた体を拭いてやりながら、濡れた褌もさりげなく解(ほど)き、尻の芯にじっと舌を押し当ててから、尻の内側にじっくり舌を這わし、更に男根を深々とほおばる・・・。男は、「蕩(とろ)けそうだ・・・」と声を漏(も)らしつつ、一時(いっとき)であれ、心(しん)から安らいでくれるだろう・・・。

画像二段目左の画像は、広重の「東海道五十三次」の中で、私が二番目に惹かれる作品だ。「浜松 冬枯れの図」(保永堂版)。
(「保永堂版」に限らず、「狂歌入り」、「行書版」、「隷書版」、「堅絵(たてえ)」も含め)
左から二番目の、尻と背中を見せて立ちつつ焚火(たきび)に当たり、煙草(たばこ)をくゆらしているかなり高齢に見える男の、裸の後ろ姿を含め、どこかしら哀感を漂(ただよ)わせている佇(たたず)まいに惹かれる。
両の尻たぶの肉が薄く見えるのも、高齢に見える一因かもしれない。もう少しでいいから盛り上がっていれば、私としてはうれしいが・・・。
(高齢に見える要因の一つは薄くなったように見える頭髪の具合からだが、実のところ、この時代の日本の大人の男たちがどのような髪の刈り方をしていたのか、私にはほとんど分からない)

(ちなみに、上から一段目とこの二段目の画像は、地元の図書館で借りた、『歌川広重 東海道五十三次 五種競演』(2017年 阿部出版刊)に載るものを撮ったが、この本の中では、二段目の画面中央に立つ杉の大木の左にいる上記の男を含む四人の男たちは、駕籠舁きだと記されている)

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三段目左と右の画像は、「京都名所 淀川」。(同一の作品)。上記「東海道五十三次」(保永堂版)刊行の翌年、天保5(1834)年に刊行された「京都名所」の中の一枚。
自身が所持している、『原色日本の美術 17 浮世絵』(小学館 昭和50《1975》年刊)から撮った。左の画像は、元の作品のほぼ左半分をやや大きめに撮った。
この本の説明によると、「東海道五十三次」(保永堂版)制作のため、江戸生まれの広重が始めて京都に行った時に写生したものがもとになっているとのことだ。
京都から大坂までの旅に、淀川を上り下りする三十石船(こくぶね)を利用するのが、当時は常識だったとのこと。
前に2人、後ろに1人、それぞれ異なる仕草の船頭が描かれている。小さくて分かりにくくて恐縮だが、後ろの船頭のたたずまいが、上記「浜松 冬枯の図」の中で取り上げた煙草をくゆらしている男と似た印象を私は受ける。作者広重もそれを意識していたかどうか・・・。上記の画集で見ると、尻は「浜松」の男より、やや厚めの張りがあるようだ。
三人の船頭の中で(乗客たちや、画像では途中で切れているが、前景の小舟の物売りの人物も含め)、作者がこの作品全体の中心人物だと恐らく意識して描いていたは、やはり、一番前で体を右に傾けいている男だろうと思われる。
赤みを帯びた褌を締め、竿(さお)を両手で握っている。頭髪はともかく、日々の労働で鍛えられるのだろう、体全体にしなやかそうな張りがある。尻の両たぶも相応に盛り上がっている。

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四段目の左と右の画像は、「木曽街道六十九次」の中の、「塩なた」。
画像は地元の図書館から借りた、『浮世絵体系15 木曽街道六拾九次』(昭和51《1976》年 集英社刊)から撮った。  
「木曽街道六十九次」は上記「京都名所」の四年後の天保9(1838)年頃完成したようだ。全70図(中津川が2図)のうち、渓斎英泉(けいさい・えいせん)が24図を描き、残りの46図を広重が描いた。最初は英泉が描き、途中で広重に代わったようだ。上記「塩なた」は広重作。
広重は実際に木曽街道を旅し、その際に「木曽路写生帖」(大英博物館所蔵)を描いたようだ。
(渓斎英泉(寛政3(1791)年~嘉永1(1848)年)

木曽街道は中山(仙)道(なかせんどう)の別名。塩なた(塩名田)は現在は長野県佐久市に含まれている。本作品は、近くを流れる千曲川の渡船場の風景とのこと。描かれている男たちは船頭。
私が引き付けられるのは、(言わなくても分かるという声が聞こえそうだ)、左から二番目の男。やや丸みを帯びて張りのある尻が何とも色っぽい。
上記「浜松 冬枯れの図」の中の左から二番目の煙草をくゆらす男と(「京都名所 淀川」の一番後ろの船頭も含め)、頭や頭髪の形も含めよく似ていると私は感じる。作者広重もそれを意識していたかどうか。
「浜松の男は尻が薄めになってしまったが、この男の尻は一回りがっちり描いて、少し若返らせてやろう・・・」
ひょっとすると、作者はそう目論(もくろ)見つつ、描いたかもしれない・・・。
彼は船頭としても円熟し、棹(さお)をさす力もかなり強そうだ。
一日の仕事が終わり、一人暮らしの(!)彼がくつろぐ住まいを訪ね、尻や男根を始め、体中存分に味わいつくす・・・。「おまえの口や手をたっぷり使うと、仕事の疲れが芯からとれる。また使ってやるぞ・・・」と男は口にするに違いない。

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五段目の左と右の画像は、同じく、「木曽街道六十九次」の中の「須原」。広重作。須原は現在は長野県木曽郡大桑村に属している。
「突然の夕立にあわてて駕籠を傘がわりに駆け込む人足を前景に」、と上記『浮世絵体系15 木曽街道六拾九次』では説明されている。
夕立のさなか、褌姿で働く男たちが前景という点では、一段目の作品と共通している。最前景の男の、張りと肉の厚みのみなぎった尻には、見るたびに目を見張る。その点では、今号に載せた画像の中で一等だろう。そればかりか、広重作品、更には他の浮世絵画家の作品も含め(ともに、私が目にしたことのある作品の中では)、一番だと思う。壮年の働き盛りか。
ただ、改めてよく見ると、腹がやや出ているように見えるのは難点か(!)。
(画像では少し見えにくいが、上記画集(原寸)で確認すると、出ているのはやはり腹だ)
さすが広重、観察や描写に怜悧(れいり)で精確な面も、当然ながら持ち合わせている。

ハッテン・サウナで彼に出くわし(!)、隠されている顔が相応に私の好みだとしたら、間違いなく尻に手を出し存分に味わう。(彼が最終的に拒んだら、さすがにあきらめるが)
ちなみに私はもう何年か以前、原宿駅に近い太田記念美術館でこの作品を見たことがある。この男の尻の印象は私の記憶の中にずっと仕舞われていたものの、作者が広重だったか英泉だったかもおぼろになっていた。
今回、上記画集で広重作だと確認し、何かしらほっとした。

今号で私が言及した、取り分け張りと厚みのある尻を描いている際、作者広重自身、相応の快感(色情とまで言えるかどうか)を覚えたとしても、何の不思議もないだろうと私は思う。(無論、本当のところは不明だが)。その方が、絵にみずみずしさや張りや深みが生まれるに違いない。

例えば、「木曽街道六十九次」の中の、上記英泉の作品の中にも褌姿の男たちが何点か描かれているが、広重作品に感じるほどの艶(つや)や色気を私は覚えない。
また、広重や英泉とほぼ同時代の葛飾北斎(宝暦10《1760》年~嘉永2《1849》年)の作品にも、褌姿の男たちは数多く描かれているが(北斎漫画も含め)、「渋さ」は分かるものの、今号で取り上げた広重作品ほどは、艶(つや)や色情を私は覚えない。(私が目にしたことのある作品の中では)。
もっとも、広重作品の中の褌姿の男たちにも、取り立ててそうした思いを抱(いだ)かない作品も少なくはないが・・・。
 それはともかく、浮世絵作品の中で、日本の男たちの丸出しの色っぽい尻に出合えるのは、生身の尻との出合いとはまた異なり、うれしいことだ。

広重作品は名品ほど、人物(裸、着衣を問わず)と風景が静かに深く交合している、そんな感を私は抱(いだ)く。

 
最初の予定では、江戸時代の絵画の中の尻について一回で書くつもりだったが、長くなったので、前半と後半に分けることにした。
それから更にもう一回、合わせてもう二回書く予定です。

(2019.1.12)
































































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この記事へのコメント

プリけつ好き
2019年01月20日 14:24
広重は写実力がありますね。
それぞれの尻に表情があります。
1段目は謙虚で控えめ、2段目は人生を感じたり、
全体的には猫のように、別のことを考えているような虚心を感じるそれぞれの尻ですね。
荻崎正広
2019年01月20日 23:46
「プリけつ好き」様
コメントありがとうございます。
「虚心を感じる尻」という表現を面白く感じました。

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